自宅警備の仕事の1つに宛名印刷があります。
Windows VISTAやMac OSX 10.5以降のOSでは、標準書体がJIS2004字形に変更されています。
例えば、名前でもよく使われる「辻」という字が1点しんにょうから2点しんにょうになりました。
全てのしんにょうが2点になるのではなく、変更となる168文字の一部の文字がしんにょうなだけで、1点しんにょうのままの文字やその他の変化もあります。
点の付き方や止め翅の仕方が変わったりと、微妙な変更ばかりですが、名前に使うとなると、その人のアイデンティティに関わるので、正しい表記を守らなければなりません。
1点しんにょうの辻さんと、2点しんにょうの辻さん、どれくらいの比率でしょうか?
圧倒的に1点の方が多いと思います。
例え、漢字として2点の方が正しいとしても、長年1点で生きてきた人にとって、その人を表すのは1点しんにょうの辻です。
この規格の正式名称は「JIS X 0213:2004」で、2000年に制定された「JIS X 0213」の2004年改正版というものです。
XP以前のJIS90字形は、「JIS X 0208」という規格で、1978年に制定したものの、1990年改正版です。
JIS90はパソコンが普及する前、JIS2004は普及しつつある時期に決められたもので、ユーザーの使い勝手を全く無視しています。
変わってしまうのではなく、どちらも出せるのであれば混乱も少なかったのかもしれません。
Windows 2003 ServerもXPと同じJIS90字形です。
今年7月にサポート切れとなります。
システムに登録される情報として、サーバーをリプレイスしたら字形が変わってしまた!
という事象があちらこちらで発生すると思います。
印刷屋とシステム屋だけが儲かる仕組みですね。
ただ、印刷屋こそ古くからパソコンを使っているのですが、フォントメーカはJIS2004に準拠したものは一部しかないため、結局は字形パレットからOpenTypeの異体字を選択して表示させています。
標準字形としてはJIS90字形のままでも、Adobe Japan 1-6に対応しているものは、JIS2004字形を包含しているので、メーカーとしてもJIS2004対応を謳ったパッケージを用意する動機付けが弱くなってしまいます。
結果、標準アプリケーションを使うユーザーは、JIS90字形を表示させる手段を奪われたまま、半ば強制的に字形変更を迫られています。
規格の制定時にこうした混乱を予想できなかったのでしょうか?
まだまだ尾を引く問題ですね。